1本の歯を失った場合、他の歯でも噛みやすいので、すぐ歯医者さんに行こうとは思わない方が多いかと思います。
しかし、入れ歯やブリッジ、インプラントなどは、単に「噛む」ために存在するわけではありません。お口の中の正常なバランスを保つという役割も実は持ち合わせています。
歯がなくなった状態で物を噛み続けると、残された歯に過度な負担がかかります。
また、歯が抜けることでできたスペースに他の歯が移動してきて、歯並びが悪化する原因となります。
歯並びが悪化すると、歯の隙間に歯垢がたまりやすくなり、虫歯や歯周病の原因ともなり、負のスパイラルが始まります。
このように、例え1本の歯がなくなったとしても、お口の環境は想像以上に悪い方向へ変化していくという認識が非常に大切です。
歯を失った場合の第一選択としては、インプラント治療があります。
詳しくは、インプラントをご覧ください。
しかし、インプラント治療も万能なわけではなく、インプラント手術への不安を抱いている方やアゴの骨の状態・持病を持っている方の場合には、インプラント治療が適応しない場合があります。
その点、入れ歯であれば、ほとんどの症例に適応するという特長があります。
入れ歯はすべての方に適応できるという特長がある反面、入れ歯で困っている人は、
2000万人以上と言われ、「痛い・噛めない・はずれる」が入れ歯の三拍子と言われてきました。
合わない入れ歯を使用していると、アゴの骨は急速に減っていきます。
アゴの骨が減ると、余計に入れ歯が合わなくなり、さらに急速に骨が減っていくという悪循環に陥ってしまいます。
こうした合わない入れ歯を使用されている方の多くは、
"入れ歯は噛めないもの"
"歯を失ってしまった以上、仕方のないこと"
などと、入れ歯の可能性を見いだせないでいます
これは非常にもったいないことです。
歯科医療は日進月歩の世界です。
技術の進歩により「痛くなりにくい・噛みやすい・はずれにくい」入れ歯をつくることも可能になっています。
そのような入れ歯であれば、おいしく食事をとることもできるのです。
合う入れ歯と、合わない入れ歯は何が違うのという正しい知識を患者さん自身が知ることが、自分に適した入れ歯に出会う第一歩となります。
これから私は、歯科医師として非常に心苦しい話をしなくてはなりません。
それは、入れ歯が合わない理由は、保険の制度上、入れ歯に使える材料や、かけられる手間に制限があるということです。
健康保険を用いた診療では、使える材料や手間暇が細かく取り決められています。
歯科医師は、このルールに則った診療をしなくてはなりません。
このことが、適切な入れ歯に非常に大切な"材質・設計・制作工程・調整"という作業に手間をかけることを難しくしているのです。
一方、保険外診療で入れ歯を作る場合はこのような制約がありません。
治療費はすべて患者様の自己負担になってしまいますが、患者さんが納得していただけるまで、手間と時間を惜しみなくかけることができるのです。
こうした前提のうえで、「保険外」で作る入れ歯と「保険」の入れ歯の違いについてお伝えしていきます。
快適な入れ歯には、以下の条件が求められます。
保険の材料で作る入れ歯は重いため、噛むという動作に負担を与えます。
一方、保険外の入れ歯で使用する材料には、保険の材料の約1/4の重さのものを使用します。
口の中は、髪の毛が1本入るだけで不快感があるほど敏感です。このため、保険外の入れ歯で使用する材料の場合、保険のものに比べ約1/6の厚さの薄い材料を使用します。
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入れ歯を入れると、温かい・冷たいといった食べ物の温もりをなかなか感じにくくなります。
食べ物の温もりは味覚に大きな影響を与えます。このため、保険外の入れ歯では
温もりを感じやすい材料(専門的に表現すると、熱伝導率の高いもの)を使用します。
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入れ歯をひっかける針金は、見た目にも悪く心理的な悪影響を及ぼす場合があります。
保険外の入れ歯では、この針金を見えにくく、又は金属自体を使わないようにする仕組みがあります。
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合う入れ歯を作るために重要なのは、手間をかけた調整です。
保険外の入れ歯の場合には、ミリ単位に及ぶ緻密な調整を行うことで、自分に適した入れ歯をつくることが可能です。
松代歯科医院では患者様に適切な入れ歯を作るため、次の3つのステップを大切にしております。以下、ご紹介します。
特に、入れ歯の作り直しの患者様に対しては、これまでどんなことで悩まれたのか、どんなことで苦労されたのかなどの問題点を浮き彫りにすることが大切です。そのお話を聞くことで、私たち専門家は何が原因でその問題が生じたのかを理解できますし、患者様にあった新しい入れ歯のイメージを作ることができます。
「噛みやすい」「はずれにくい」「痛くなりにくい」というのは、患者様が求める当然のご要望です。
これ以外にも、「金属のバネをつけたくない」
「歯並びを年相応にしたい」などのご要望もあります。
これらのご要望しっかり聞かずに、歯科医師が勝手に
良いとイメージした入れ歯を提供しても、決して
患者様は満足しません。共に同じ「ゴール」を目指して
作業を進める必要があります。
しかし、あるときは歯科医師が患者様をリードする必要もあります。
実は歯並びには、男性らしい歯並び、女性らしい歯並び、年相応の歯並びなどが存在します。女性の患者様が男性らしい歯並びをしていたら不自然ですよね。
また、歯の色も他の歯との調和が大切です。いくら真っ白な入れ歯を希望されても、他の歯との調和がなっていなければ入れ歯という事が分ってしまうかもしれません。
このように、患者様のご要望、そして専門家の視点を融合させて同じゴールに向かって治療を進めていくことが大切と考えます。
入れ歯はお口にピッタリとはまり、しっかり噛みやすくなれば良いというものではありません。
患者様に「適切」な入れ歯にするためには様々な角度での検証が必要となります。
・噛み合せの高さ、位置
・会話をしている時の歯の見え方
・笑顔と歯のバランス
・発音は明瞭か
・口元の膨らみ具合・・・・・・・・
入れ歯を入れたら急に「老け顔」になってしまったという話しを良く聞くと思います。
これは「合わない入れ歯」に原因があります。
歯は顔の輪郭を形作っている重要な要素です。
より、歯の代わりとなる入れ歯が大きかったり、
小さかったりすると顔の輪郭が変わってしまいます。
この輪郭の変化が顔のシワ・タルミの原因となり、
老け顔を助長する元凶でとなります。
つまり、自分に適した入れ歯は
「痛くなりにくい、しっかり噛みやすい」といった機能的な
面の回復だけでなく、シワ・タルミが生じないといった
審美的な面までも回復してくれます。
合わない入れ歯は、ボケまでの一里塚といわれています。
実は、合う入れ歯で物をしっかり噛むことで「ぼけ防止」
に大きな効果があるのです。
これは、顎を動かすことにより脳の中を流れる血液の量が
大幅に増加し、脳細胞を活性化させるためです。
これはある統計でも証明されており、アルツハイマーに
なってしまう方には、歯が少ない人が多いようです。
身近な例えとしまして、眠気が襲ってきた時、眠気覚ましに「ガム」を噛むことがあります。これはハッカによる刺激の効果もあると思いますが、ガムを噛む行為自体が脳に新鮮な血液を送りこむので、脳が活性化し、眠気覚ましにも効果があるのです。
このようなことから最近では、両親へのプレゼントとして、お子さんが来院され、
「親のために、よく合った入れ歯を作ってあげたい」というご要望もあります。
もし、ご両親が入れ歯で悩んでいるのであれば、お気軽にご相談ください。
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使う入れ歯の素材により異なりますが、だいたい2回~5回(完成後の調整は除く)く
らいと考えて下さい。
※入れ歯は完成してからの微調整が大切となります。しっかり噛みやすくなるまで、
5回程度の調整が平均的です。
原因は1つではありません。
入れ歯が、歯ぐきやお口の粘膜に食い込むことで生じる痛み
入れ歯は、歯ぐきや粘膜に密着してなじんでいくものですが、その際に入れ歯の縁が歯茎に食い込むことで痛みが生じることがあります。
入れ歯が粘膜に接する部分が小さい場合
例え話しでご説明します。
絨毯に大きな板を置いてもあまりへこまないですよね。
しかし、机を置いた場合はどうでしょうか?机の脚の跡が付くくらいへこむと思います。
入れ歯も同じことが言えます。
入れ歯自体が粘膜に触れる部分が大きいと、噛んだときの力が分散され痛みは生じません。しかし、触れる部分が小さい場合はどうでしょう。力が分散されず、1点に集中してしまいますよね。それが痛みの原因となります。
入れ歯は何度も調整を行い、患者さんのお口にあった入れ歯を作り上げます。
しかし、お口の状態は常に同じではありません。様々な条件が重なり変化していくものです。つまり、お口の状態に合わせて入れ歯も定期的に調整が必要となります。
以前はあまり痛みがなかったのに、最近は痛み出してきたなと感じられたら、入れ歯を作った歯科医院で入れ歯の調整をして頂いて下さい。